第一次ペルシア戦争とは? ギリシアはどのように迎え撃ったのか?

紀元前490年、ペルシアの君主ダレイオス1世はペルシアへの服従を拒否したギリシアの都市を攻略すべく600隻の艦隊を派遣した。

 

ペルシア戦争の経緯についてはヘロドトスの『歴史』が唯一の資料だが、ヘロドトスはどうも数字を盛る癖があったらしく600隻と言う数は現実的に考えてありえないのでは無いかと思う。

 

ガレー船同士の最大規模である「レパントの海戦」でもオスマン帝国、キリスト連合軍両軍合わせて400隻という数である。ペルシアが派遣した艦隊を実際は600隻の半分もあるかどうかといったところだったのでは無いだろうか。

 

エレトリア攻防戦

ペルシアを出発した艦隊はまずナクソスを攻め落とし、ミレトスの反乱でミレトスを支援したエレトリアに向かった。

 

ペルシアを迎え撃つことになったエレトリアだが、ペルシアの大軍を前にして親ペルシア派と反ペルシア派との間で混乱が起きていた。

 

アテナイはエレトリア支援のために援軍を送ったが、エレトリアの混乱状態の前に何もすることは出来ず、アテナイへと帰っていった。

 

エレトリアに到着したペルシア軍はエレトリアを包囲、攻撃を開始した。エレトリアは街に立てこもり、防戦したが、7日目に国内の親ペルシア派が内部から城門を開けてついに陥落した。

 

ペルシア軍のマラトン上陸

エレトリアを攻略したペルシア軍はさらに進路を進めてマラトンに上陸した。マラトンアテナイの北東28kmに位置する平原で、エーゲ海に面しているため、アテナイきっての良港だった。

 

ペルシア軍のマラトン上陸を知ったアテナイ軍は軍を編成。スパルタに支援を求める使者を送り、プラタイアからの援軍を得て、ミルティアデス以下10人の将軍を選出してマラトンへと軍を進めた。

 

ペルシア軍は軽装歩兵、重装歩兵、騎兵から成る2万の軍勢を配置し、アテナイ軍を待った。アテナイ兵9600、プラタイア兵600から成るギリシア連合軍はマラトン南部の街道から侵入し、陣を張った。

 

アテナイ、プラタイア連合軍らスパルタの援軍を待つか待たないかで意見が割れた。当時10人の将軍が日替わりで総指揮を取っていたが、主戦派であったミルティアデスは自分の番が来ると開戦に踏み切った。

 

ミルティアデスは横に長いペルシアの陣形を見て数で勝るペルシア軍に包囲されることを恐れて、自軍を横に引き伸ばしたため中央部が薄くなった。

 

両翼はギリシアの伝統に忠実に右翼に主力部隊を配置し、これをカリマコスに率いさせた。プラタイアからの援軍は左翼に配置した。

 

マラトンの戦い

早朝、ついにギリシア軍によって戦いの火蓋が落とされた。弓兵の射程距離に入ったところで突然駆け出すという奇襲戦法によってペルシア側はかき乱され、時が経つと長時間の戦闘に耐えることができるギリシアファランクスが効果を発揮した。

 

戦闘開始からしばらくすると、ミルティアデスによって拡張された両翼の部隊がペルシア軍の両翼を敗走させることに成功した。

 

ペルシア軍を敗走させたギリシアの両翼は中央のペルシア軍の背後に回り込み包囲、これを壊滅させた。

 

この戦いでペルシア軍の死者は6400人。ギリシア連合軍は右翼の主力部隊を率いていたカリマコスを含む192人が戦死した。

 

アテナイが支援を求めていたスパルタだが、200kmをわずか2日で踏破したが戦場についたときには全てが終わった後だった。

 

マラトンの戦い後

大国ペルシアを完膚なきまでに打ち倒したという知らせはギリシア中を歓喜の渦に巻き込んだ。マラトンで戦った兵士は戦士の理想とされマラトーノマカイと呼ばれた。

 

マラトンでの戦勝により、アテナイの世論は反ペルシアで固まりペルシア宥和策を唱えていた政治家は陶片追放によって国外追放にされた。

 

マラトンの戦いでの有名な話として戦勝を知らせるためマラトンからアテナイまで走り、戦勝を告げた途端絶命した兵士に因んで近代マラソンの距離が42kmとしたという話があるが、兵士が走って絶命した距離を選手に走らせるのはいかがなことかと個人的には思う。

 

因みに一躍マラトンの英雄となったミルティアデスだが、彼は後にペルシアを支援したパロス島を撃つべく国内の反対にも関わらず遠征を強行するが失敗に終わり裁判を起こされる。

 

初めは死刑が求められていたがマラトンの英雄ということが考慮され、50タレントの罰金刑になった。

 

現代とは物価が大きく異なるためタレントが今のいくらに相当するかは確かなことは言えないが、大体労働者16年分の年収だったとされている。

 

このような莫大な罰金刑を課せられたミルティアデスだが、罰金を払い終える前にパロス島遠征で受けた傷が元で獄中で死ぬという結末を迎えている。

 

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